人文研究見聞録:清野井庭神社 [三重県]

三重県伊勢市にある清野井庭神社(きよのいばじんじゃ)です。

豊受大神宮(外宮)の摂社であり、古くから井堰の神として当地に祀られていたとされています。


由緒

創祀の詳細は不明とされますが、当地域は古くは「清野」と呼ばれる原野であり、その「井庭」の神(灌漑用水の神)を祀ったことに始まると云われています。

なお、平安初期に編纂された外宮の社伝『止由気宮儀式帳』に記載されることから、延暦23年(804年)以前には存在していたと考えられており、『延喜式』神名帳にある式内社・清野井庭神社に比定されているそうです。

また、中世の末には祭祀が行われなくなったことから社地の所在が不明となり、寛文3年(1663年)に行われた調査を経て現在地に再興したとされています。

ただし、再興時の社地選定には異説があり、それによれば今社の鎮座地が本来の場所であると云われているようです。

祭神

清野井庭神社の祭神は以下の通りです。

・草野姫命(カヤノヒメ):イザナギ・イザナミの間に生まれた草の神(文献によって異なる)
 → 草神:草野姫命と同神とされる(『神名秘書』)
 → 草野姫命、裏書屋船命:裏書屋船命はククノチと同神と思われる(『類聚神祇本源』)
 → 草野姫命又ノ名 野槌:野槌は草野姫命の別名(『神三郡神社参詣記』)
 → 屋船命:屋船命はククノチと同神(『勢陽五鈴遺響』)
 → 屋船久々遅命、屋船豊宇氣姫命:ククノチとトヨウケビメ(外宮主祭神)とされる(『神名帳考證』)
 → 茅野姫命:草野姫命と同神(『勢國見聞集』)

社殿

人文研究見聞録:清野井庭神社 [三重県]

清野井庭神社の社殿です。

広い境内に単独で祀られており、周辺には公園が隣接しています。

なお、社殿の前には賽銭箱は設けられていません(伊勢神宮の関連社には大抵 賽銭箱が無い)。

料金: 無料
住所: 三重県伊勢市常磐1丁目8番
営業: 終日開放
交通: 宮町駅(徒歩8分)、山田上口駅(徒歩9分)、伊勢市駅(徒歩17分)
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。