人文研究見聞録:若宮八幡宮(川崎市) [神奈川県]

神奈川県川崎市にある若宮八幡宮(わかみやはちまんぐう)です。

元々は平間寺(川崎大師)の鎮守社であったため その付近に鎮座しており、祭神に仁徳天皇を祀っています。

また、当社の境内社には「かなまら祭」で知られる金山神社があり、こちらの方が有名なんだそうです。


由緒

人文研究見聞録:若宮八幡宮(川崎市) [神奈川県]

当社は、第16代仁徳天皇の淀川治水工事の実績から、八幡塚六郷神社(東京大田区)の氏子たちが当地への移住の折に、大師河原干拓の総鎮守として祭神(仁徳天皇)を分祀したことに始まるとされます。

創建年代については定かではないとされますが、江戸期の『小田原衆所領役帳』に「永禄2年(1559年)に朱印地三石」と記されていることが初見とされるため、これがおおよその目安となっているそうです。

また、創建以来 平間寺(川崎大師)の鎮守社とされてきたものの、明治期の神仏分離の際に独立し、当時の平間寺38世貫主・佐伯隆基の親族が宮司となったとされています。

祭神

若宮八幡宮の祭神は以下の通りです。

主祭神

・仁徳天皇(にんとくてんのう):第16代天皇であり、全国の若宮八幡宮で祀られている
 → 第15代応神天皇は八幡大神として全国の八幡宮で祀られる

境内社


人文研究見聞録:金山神社
金山神社
人文研究見聞録:藤森稲荷神社(左)、大鷲神社(右)
藤森稲荷神社(左)、大鷲神社(右)

若宮八幡宮の境内社は以下の通りです。

金山神社金山比古(カナヤマヒコ)、金山比売(カナヤマヒメ)を祀る
・藤森稲荷神社:宇賀之魂神(ウカノミタマ)を祀る
・厳島神社:市杵嶋比売神(イチキシマヒメ)を祀る
・大鷲神社:日本武尊(ヤマトタケル)を祀る

仁徳天皇と若宮八幡宮

人文研究見聞録:若宮八幡宮(川崎市) [神奈川県]
仁徳天皇

仁徳天皇(にんとくてんのう)は、『日本書紀』に「難波の田畑が乏しい様子を見て、"治水工事を行って洪水から道路や田宅(民の住宅)を守るように"と詔した。その結果、野を掘って堤を築き、遂に治水工事を完成させた」とあることから、土木事業の守護神として祀られていることが多いようです。

また、天皇の御歌である『高殿に のぼりてみれば 煙たつ 民のかまどは にぎわいにけり』に見られるように、「民家から煙が上っていない様子を見て、3年間 民の課役(公的な労働)を免除し、自らは衣服や食物の質を落として民の苦渋を味わった。この結果、3年後には五穀豊穣を迎えて民も豊かになった」とあることから、生活向上の守護神として祀られることもあります。

ちなみに、父の応神天皇を祀った神社を八幡宮と呼ぶのに対し、御子の仁徳天皇を祀った神社は若宮八幡宮と呼ばれています。この「若宮」という呼称から、子供や若者の守護神として祀られることもあるそうです。

料金: 無料
住所: 神奈川県川崎市川崎区大師駅前2ー13ー16(マップ
営業: 終日開放(資料館は9:00~16:30)
交通: 川崎大師駅(徒歩2分)
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。