人文研究見聞録:富士山本宮浅間大社 [静岡県]

静岡県富士宮市にある富士山本宮浅間大社(ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ)です。

富士山を神体山として祀っている神社であり、全国に約1,300社ある浅間神社の総本社となっています。

社伝によれば、第11代垂仁天皇3年(紀元前1世紀頃)に創建された古社であり、祭神に浅間大神を祀っています。

なお、浅間大社は本宮奥宮2宮からなり、奥宮は富士山の頂上に鎮座しています。

また、古くは「ふじの宮」とも呼ばれており、これが富士宮市の名前の由来となっているんだそうです。


神社概要

由緒

人文研究見聞録:富士山本宮浅間大社 [静岡県]

富士本宮浅間社記(浅間大社の縁起)」によれば、第7代孝霊天皇の時代富士山が大噴火をしたため、周辺住民は離散し、荒れ果てた状態が長期に及んだとされています。

その後、第11代垂仁天皇はこの状態を憂い、垂仁3年(BC.27年)浅間大神を山足の地に祀り、山霊を鎮めたことに始まるとされています。なお、神社の創建後には姫神の水徳を以って噴火が静まったと伝えられているそうです。

以来、富士山の噴火を鎮める浅間大神を祀る神社として、篤い崇敬を集めているとされています。

祭神

人文研究見聞録:富士山本宮浅間大社 [静岡県]

現在、浅間大社で祀られている祭神は以下の通りです。

主祭神

・木花之佐久夜毘売命(コノハナサクヤヒメ):天孫・ニニギの妻となった神であり、浅間大神として祀られる。

配神

・瓊々杵尊(ニニギ):天孫(アマテラスの孫)として降臨し、コノハナサクヤヒメの夫となった神。
・大山祇神(オオヤマヅミ):日本の代表的な山の神であり、コノハナサクヤヒメの父に当たる。

富士本宮浅間社記」によれば、当初の祭神は、浅間大神を主祭神に、太元尊神大山祇神を配祀したとされています。

このうち「太元尊神」は、地球そのものを神格化した「国常立尊(クニノトコタチ)」とされていたそうです。それが、明治時代以降に現在の祭神に代えられたと云われています。

宮下文書

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徐福

富士山周辺にまつわる独自の歴史書として、『宮下文書(みやしたもんじょ)』という古文献があります。

『宮下文書』とは、山梨県富士吉田市の旧家、宮下家に伝来する古記録・古文書の総称です(「富士古文献」とも)。

この文献には、神武天皇が現れる遥か以前の超古代に富士山麓に勃興したとされる「富士高天原王朝(ふじたかまがはらおうちょう)」に関する伝承を含む歴史が記されており、その中核部分は中国・秦から渡来した徐福(じょふく)が筆録したと伝えられてます。

そのため、近年注目を集めている「古史古伝」の代表的なものの一つに数えられています。

なお、古代より朝廷で大臣職を担っていた武内家の末裔である73世武内宿禰こと竹内睦泰氏によれば、第8代孝元天皇が正史の編纂を命じ、その録出を命じたのが初代・武内宿禰であり、その文献こそ『宮下文書』であるということなんだそうです。

それ以上のことは具体的には分かりませんが、上記については以下のビデオの中で語られています。


境内の見どころ

大鳥居

人文研究見聞録:富士山本宮浅間大社 [静岡県]

浅間大社の大鳥居です。高さは16mとされています。

楼門

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浅間大社の楼門です。

静岡県指定文化財となっています。

拝殿

人文研究見聞録:富士山本宮浅間大社 [静岡県]

浅間大社の拝殿です。

静岡県指定文化財となっています。

本殿

人文研究見聞録:富士山本宮浅間大社 [静岡県]

浅間大社の本殿です。

「浅間造」という独特の神社建築様式であり、国の重要文化財に指定されています。

境内の奇石群

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火山弾
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南極の石
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鉾立石

浅間大社の境内には、以下のような奇石が安置されています。

・火山弾(かざんだん):富士山の噴火時に吹き上げられた溶岩が固まったもの(形の整ったものは珍しいとされる)
・南極の石(なんきょくのいし):第七次南極観測船「ふじ」の乗組員の赤池氏によって奉納された南極の石
・鉾立石(ほこたていし):明治初年まで行われていた山宮御神幸の際に、神鉾を休め奉った所とされる

富士山頂の関連社

奥宮

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浅間大社の奥宮(おくみや)です。

富士山頂(富士宮口)に鎮座しており、諸祈願および、お札・お守りの販売、金剛杖の御朱印の授与も行っています。

なお、富士山に登るための金剛杖は本宮で販売しています(周辺各所で販売されている)。

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参道の鳥居
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山頂鳥居前

久須志神社(東北奥宮)

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浅間大社の末社・久須志神社(くすしじんじゃ)です。

富士山頂(吉田口、須走口)に鎮座しており、以下の祭神を祀っています。

久須志神社の祭神

・大名牟遅命(オオナムジ):出雲の国造りの神であり、大国主の別名とされる
・少彦名命(スクナヒコナ):出雲の国造りの神であり、大国主の片腕を担ったとされる

料金: 参拝無料
住所: 静岡県富士宮市宮町1-1(マップ
営業: 8:30~18:00、無休
交通: 富士宮駅(徒歩10分)

公式サイト: http://fuji-hongu.or.jp/sengen/index.html
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。