人文研究見聞録:七宮神社 [兵庫県]

兵庫県神戸市にある七宮神社(しちのみやじんじゃ)です。

生田裔神八社の一社であり、祭神に大己貴命・大日霊貴命・天児屋根命を祀っています。


神社概要

由緒

人文研究見聞録:七宮神社 [兵庫県]

由緒書によれば、創建年代は不明とされるものの、神功皇后が三韓征伐の帰途に巡拝した1社であり、その7番目に巡拝したことから七宮神社という説があるようです。しかし、確実な記録は平安末期の平隆盛の頃とされます。

また、平清盛が経ヶ島を造成する際に工事が難航し、その原因が土砂の採石場の塩槌山に祀られている大己貴命の怒りであったことから、大己貴命に清盛自筆の"南無七大明神"の神号を奉じ、今の七宮町に祀ったという話もあるとされています。

なお、由緒書による詳しい解説は以下の通りです。

由緒沿革

御創建の年代は、遠くつまびらかではありませんが、平安末期の平家隆盛の頃には、七宮神社に関する記録が残されていますので、1000年以上の歴史を持つ古社であることは間違いありません。

七宮と云う社名は「神功皇后が201年に三韓征伐凱旋帰国の途中 七番目に巡拝されたからだ」と言う説と、『白藤家記録』にある「七宮神社は『延喜式』に戴する八部郡汝売神が七宮の全身を称えられ主祭神である大己貴命は大国主神、大物主命、葦原醜男、八千矛神、大国玉神、顧国玉神の七つの御名を称して七宮神社と云われている」との説があります。

また、平家一族が尊崇された神社であり、平清盛公が兵庫津を整備するに際に経ヶ島築造の為に会下山の南に塩槌山と云う大きな山がを削って経ヶ島をつくろうと云う話になり、応保元年(1161年)2月から いよいよ昼夜分かたぬ大工事が始められました。

しかし、激しい風が吹き、波が高まって土砂を流し去ってしまったため、人夫も清盛たちも疲れ切ってしまい「一体どうして島ができぬのであろう」と悩む清盛のところに、家臣の阿波民部重能がやってきて「これは土砂を採石している塩槌山の岩影に大己貴命が祀られていて、それを知らずに この山を崩し、海に埋めようとしていたので、この神が怒って暴風雨を起こすのではないか」と云う事で、清盛自筆の"南無七大明神"の神号を奉り、現在の今の七宮町に祀られたのが七宮神社だと云われています。

そして、この神に祈願することで、経ヶ島を建設も捗って島は完成し、それ以後の七宮神社は兵庫津北浜の産土神として崇拝される神社となりました。

また、寛政11年(1799年)には、淡路島五色町出身で西出町に住居を構える豪商高田屋嘉兵衛翁が、辰悦丸を含む持ち船三隻の模型を奉納して航海安全を祈願し、それ以降は海上業者は七宮神社を参拝するようになっています。しかし、戦災により奉納された船は悉く焼失しました。

祭神

七宮神社の祭神は以下の通りです。

主祭神

・大己貴命(オオナムチ):出雲大社で祀られる大国主大神の別名とされる

相殿神

・大日霊貴命(オオヒルメムチ):アマテラスの別名とされる
・天児屋根命(アメノコヤネ):中臣氏(藤原氏)の祖神(北風家の氏神とも)

生田裔神八社とは?

生田裔神八社(いくたえいしんはちしゃ)とは、神戸市の生田神社を囲むように点在している裔神八社のことであり、現在では八社を数字順に巡ることで厄除けを祈願する"八宮巡り"が行われているとされます。

この歴史は「神功皇后の三韓征伐」に由来するとされ、伝承によれば「神功皇后が長田・生田・広田・住吉の4社を建立した後に皇室にまつわる八社を巡拝した」ということに基づいているとされています。

なお、生田裔神八社に当たる神社は以下の通りです。

一宮神社田心姫命(タゴリヒメ)を祀る
二宮神社天忍穂耳尊(オシホミミ)・応神天皇(おうじんてんのう)を祀る
三宮神社湍津姫命(タギツヒメ)を祀る
四宮神社市杵島姫命(イチキシマヒメ)を祀る
五宮神社天穂日命(アメノホヒ)を祀る
六宮神社天津彦根命(アマツヒコネ)・応神天皇(おうじんてんのう)を祀る
・七宮神社:大己貴尊(オオナムチ)・大日霊貴命(オオヒルメムチ)・天児屋根命(アメノコヤネ)を祀る
八宮神社熊野杼樟日命(クマノクスヒ)・素盞嗚尊(スサノオ)を祀る

境内の見どころ

鳥居

人文研究見聞録:七宮神社 [兵庫県]

七宮神社の鳥居です。

拝殿

人文研究見聞録:七宮神社 [兵庫県]

七宮神社の拝殿です。

石祠

人文研究見聞録:七宮神社 [兵庫県]

七宮神社の石祠です(祭神は不明)。

料金: 無料
住所: 兵庫県神戸市 兵庫区七宮町2丁目3−21(マップ
営業: 終日開放
交通: 神戸駅(徒歩13分)
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。