人文研究見聞録:稲荷山六角堂 [愛媛県]

愛媛県松山市にある稲荷山六角堂(いなりさんろっかくどう)です。

上一万駅付近に位置しており、詳しいことは不明ですが、どうやら常楽寺の六角堂とされているようです。なお、赤く大きな鳥居が目立つ寺院であるため、仏教系の稲荷神を祀る神仏習合の寺院であると思われます。

なお、境内には多数の狐像と狸像が立ち並び、その中には容姿が異様なものがいくつかあります。また、御利益は「開運守護」とされ、毎年3月中旬の大祭では焚いた護摩檀の上を裸足で歩く「火渡りの行」が行われるそうです。


境内の様子

人文研究見聞録:稲荷山六角堂 [愛媛県]
人文研究見聞録:稲荷山六角堂 [愛媛県]
人文研究見聞録:稲荷山六角堂 [愛媛県]

境内にはいくつかの施設がありますが、その詳細はよく分かりません。

地図上では常楽寺・六角堂・稲荷山六角堂という3つの施設が表示されますが、境内にはその他の施設もあります。

異様な狐像

人文研究見聞録:稲荷山六角堂 [愛媛県]

鳥居の下には妙にリアルな狐像が安置されています。

この他にも多種多様な狐像が安置されているため、そういう像を探してみると面白いかもしれません。

六角堂狸の伝説

人文研究見聞録:稲荷山六角堂 [愛媛県]

六角堂には以下の様な伝説が残っているそうです。

六角堂狸

江戸時代の頃、六角堂には松山城の築城の際に東の守りとして植えた榎の木があり、そこに狸が棲みついていた。

ある朝、住職がその木を見上げると、狸が枝の上で髑髏(どくろ)を四方八方に振り回していた。その前に通りかかった侍は、ふらふらと歩きながら右往左往しており、それを見た住職は「さては狸に化かされたか」と心配しながら様子を窺っていた。

ある日、枝に置き忘れられていた狸の髑髏を住職が見つけ、それを取上げると狸は神通力を無くしてしまった。狸が返してくれるように懇願すると、哀れに思った住職は人をたぶらかさないことを条件に狸に髑髏を返してやった。

以来、榎の木の下を通っても何も起きなくなり、お参りすると御利益があるようになった。それからというもの、六角堂狸(榎大明神)として祀られるようになって参詣者が増えたという。

また、大正時代になると、六角堂辺りで「安さん」という老人が晩にそばの屋台を営むようになった。

ある夜、そこにみすぼらしい老人がやってきて「そばを一杯ぬるうにして下さい」と言って注文した。また次の晩もやって来て同じようにそばを注文し、必ず屋台の陰に隠れるように食べていた。

そんなことが数日続いたが、この老人が来た晩に限って売り上げの勘定が合わない。財布の中から木の葉が出てくる。これは怪しいと思った安さんは、その老人の正体を見届けてやろうと構えていた。

そんなことも知らないで、いつもの老人が屋台に現れた。気構えていた安さんは用意していたクワで老人を殴りつけた。すると老人は「ぐぅ」と言って、そこで黒い大きな塊のようなものが逃げて行った。

それからしばらくは何も無かったが、今度は近くの薬屋へ毎晩の様に貼り薬を買いに来る老人が現れた。薬屋は勘定が間違って困っていたという。

そんな話の続いたある朝、六角堂の住職が庫裏の縁の下で全身の毛が抜けた大きな古狸がウンウン唸っているのを見つけた。住職は哀れに思ってその古狸を介抱してやった。

その後、傷が治った古狸は住職に感謝し、悪戯を止めて御利益があるよう六角堂を盛り立てたという。

参考サイト:六角堂狸

料金: 無料
住所: 愛媛県松山市勝山町2丁目18
営業: 不明
交通: 上一万駅(徒歩2分)、警察署前駅(徒歩2分)
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。