人文研究見聞録:四国八十八ヶ所62番札所 天養山宝寿寺 [愛媛県]

愛媛県西条市にある宝寿寺(ほうじゅじ)です。

四国八十八箇所霊場の第六十二番札所であり、本尊に十一面観世音菩薩を祀る高野山真言宗の寺院となっています。

こじんまりとした境内に各御堂が収まっているという比較的シンプルな寺院です。


寺院概要

縁起

寺伝によれば、聖武天皇の勅願によって天平年間(729~748年)道慈律師(どうじ)によって建立され「金剛宝寺」と名付けられたとされます。

平安時代の大同年間(806~810年)には、空海(弘法大師)がこの寺に留まり、光明皇后を模写した十一面観世音菩薩像を刻んで本尊とし、寺名を「宝寿寺」と改めたそうです。

その後、天正13年(1585年)に豊臣秀吉の戦禍によって荒廃し、寛永13年(1636年)に宥伝上人によって現在地付近に移されて再興されるも、明治初期の廃仏毀釈によって廃寺となったとされています。

それが、明治10年(1877年)に大石龍遍上人によって再興され、大正10年(1921年)の予讃線の工事に伴い、現在地に移転して現在に至るとされています。

本尊

人文研究見聞録:四国八十八ヶ所62番札所 天養山宝寿寺 [愛媛県]

・十一面観音(じゅういちめんかんのん):観音菩薩の変化身の1つであり、六観音の1つとされる
 → 真言:オン マカ キャロニキャ ソワカ
 → 当寺では安産観音としても信仰される

安産観音

宝寿寺の本尊である十一面観世音菩薩像安産の観音として信仰を集めているそうです。

というのも、弘法大師がこの寺に留まっている頃、当時の伊予国司であった越智氏の夫人が難産で苦しんだため、安産の祈念を頼まれた大師は宝寿寺境内の玉ノ井の水を加持し、それを越智夫人に与えると、夫人は玉のような男子を無事出産したとされています。

この逸話によって、本尊は現在でも安産に霊験あらたかとされているそうです。

境内の見どころ

本堂

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宝寿寺の本堂です。

大師堂

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宝寿寺の大師堂です。

鐘楼跡

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宝寿寺の鐘楼跡です。

稲荷社

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宝寿寺の稲荷社です。

仏像群

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宝寿寺の仏像群です。

料金: 無料
住所: 愛媛県西条市小松町新屋敷甲428(マップ
営業: 7:00~17:00
交通: 伊予小松駅(徒歩2分)

公式サイト: http://www.88shikokuhenro.jp/ehime/62hojuji/
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。