人文研究見聞録:須佐ホルンフェンスの磐座信仰 [山口県]

山口県萩市の須佐ホルンフェンスには、実は磐座信仰と思われる巨石が祀られています。

これは観光ガイドなどには載せられておらず、いったいどんな神を祀っているのかは不明です。


磐座の様子


この巨石には注連縄が巻かれ、その傍には祠も置かれていることから、神を祀っていることは確かでしょう。

なお、付近には幣帛が立てられており、かつ、注連縄で磐境が作られています。

また、この磐座を別角度から見ると、実際は非常に大きいものであることが分かります。

人文研究見聞録:須佐ホルンフェンスの磐座信仰 [山口県]
幣帛
人文研究見聞録:須佐ホルンフェンスの磐座信仰 [山口県]
周囲の磐境
人文研究見聞録:須佐ホルンフェンスの磐座信仰 [山口県]
別角度からの磐座

磐座信仰についてはこちらの記事を参照:【磐座信仰とは?】

磐座の祭神について


人文研究見聞録:須佐ホルンフェンスの磐座信仰 [山口県]
スサノオ
人文研究見聞録:須佐ホルンフェンスの磐座信仰 [山口県]
イチキシマヒメ(弁財天)

須佐という地名は「須佐之男命(スサノオ)が出雲の国から朝鮮半島に渡る際、神山(高山)の峰に立って航路を定めた」という神話に因んで名づけられたと言われています。

そのため、須佐ではスサノオが篤く尊崇されており、この磐座もそれに因んでスサノオを祀っていると考えられます。

また、高山には江戸時代までは弁天様こと市杵嶋姫神(イチキシマヒメ)を祀っていたとされています。イチキシマヒメは「スサノオとアマテラス」の誓約で生まれた宗像三女神の一柱であり、海にまつわる神として全国の海岸付近で祀られています。

そのため、イチキシマヒメを祀っているとも考えられます。

上記のことから、この磐座にはスサノオかイチキシマヒメ、またはその両神が祀られているのではないでしょうか?

読者様からの情報によれば、どうやら地元では「龍神様」として祀られているようです。

海に因む龍神と言えば、大綿津見神(オオワタツミ)が有名ですが、イチキシマヒメも航海の神であり龍神という要素も兼ね備えています。

どちらにせよ、龍蛇神であることは間違いないようです。

料金: 無料
住所: 山口県萩市、須佐海苔石
営業: 終日開放
交通: 須佐駅(徒歩55分)、タクシー(10分)、自動車推奨

公式サイト: http://kanko.susa.in/
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。