人文研究見聞録:小丸山古墳 [島根県]

島根県益田市にある小丸山古墳(こまるやまこふん)です。

益田平野を一望できる山頂に位置する前方後円墳であり、県内で第4位の規模を誇っているとされています。

なお、古墳の周囲には周濠(堀)と外堤(土手)を備えており、この形は県内で唯一なんだそうです。

さらに、実際に登って間近で観察できるため、五感を持って古墳を感じることができます。

こうした形で開放されている前方後円墳は全国でも稀であり、非常に珍しいものと言えると思います。


小丸山古墳の概要


小丸山古墳は、案内板では以下のように説明されています。

小丸山古墳(こまるやまこふん)

この古墳は前方後円墳です。益田平野を一望する山頂に立地しています。古墳時代後期の6世紀の初めごろに造られたもので、この地方を支配した首長の墓と考えられます。

墳丘の全長は52m。石見地方では市内久城町の国史跡スクモ塚古墳(全長100m)、遠田町の大元1号墳(全長89m)、浜田市の周布古墳(全長67m)に次ぐ第4位の前方後円墳です。

大きな特徴は、古墳の周囲に周濠(しゅうごう)と外堤(がいてい)を備えていることで、このような古墳は県内では唯一です。

益田市ではこの貴重な遺跡を保存し、郷土の文化と歴史を学ぶ資料とするため、平成4年度のふるさとづくり特別対策事業により復元しました。復元は発掘調査の成果に基づき、奈良県の市尾墓山古墳の復元を参考に築城当時の規格性を推定し、現存する部分を保護しながら復元しました。

小丸山古墳のスペック

人文研究見聞録:小丸山古墳 [島根県]

小丸山古墳のスペックを以下にまとめました。

古墳のスペック

・古墳全長:66m
・墳丘全長:52m
・後円部径:32m
・前方部幅:40m
・古墳全幅:56m
・後円部標高:44.0m(推定)
・後円部高さ:7.3m(推定)
・前方部高さ:6.8m(推定)
・古墳面積:2950㎡(推定)
・墳丘堆積:4390㎡(推定)

出土品

・珠文鏡(しゅもんきょう):直径7.3cmの小さな突起文様(珠文)がある国産の小型の鏡です。
・馬鐸(ばたく):馬の胸に付ける飾り
・鈴銀杏(すずいちょう):馬の尻に付ける飾り
・辻金具(つじかなぐ):馬具の一種で、尻繋 (しりがい) の交差するところに取付ける金具
・須恵器(すえき):古墳時代から平安時代まで生産された陶質土器(炻器)
・鉄刀(てっとう):鉄製の刀
・鉄斧(てっぷ):鉄製の斧

小丸山古墳の雰囲気

人文研究見聞録:小丸山古墳 [島根県]

小丸山古墳は住宅街の坂道を抜けた場所に位置しており、古墳の周辺は公園のようになっています。

そのため、古墳も無料開放されており、前方部に配置された階段を上って古墳の上に登ることもできます。

人文研究見聞録:小丸山古墳 [島根県]
地上から見た図
人文研究見聞録:小丸山古墳 [島根県]
前方部から階段を見下ろした図
人文研究見聞録:小丸山古墳 [島根県]
前方部から後円部を見た図
人文研究見聞録:小丸山古墳 [島根県]
後円部から前方部を見た図
人文研究見聞録:小丸山古墳 [島根県]
周濠と外堤(前方部)
人文研究見聞録:小丸山古墳 [島根県]
周濠と外堤(後円部)

復元古墳とは言え間近で見られるため、前方後円墳の雰囲気を肌身で感じることができます。

また、古墳の後円部からは町並みを一望することができるため、爽快な気分を味わうことができます。

なお、登れる前方後円墳は全国でも珍しいと思うので、古墳が好きな方にはとてもオススメのスポットです

料金: 無料
住所: 島根県益田市乙吉町(益田市立雪舟の郷記念館付近
営業: 終日開放
交通: 益田駅(徒歩23分)、石見交通バス「雪舟記念館入口」下車(徒歩10分)
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。