人文研究見聞録:糺の森 [京都府]

京都市左京区にある糺の森(ただすのもり)です。

賀茂御祖神社(下鴨神社)の境内にある社叢林(鎮守の森)であり、下鴨神社とともに世界遺産に登録されています。

森は賀茂川と高野川に挟まれるように広がっており、御手洗川・泉川・奈良の小川・瀬見の小川という4本の清流が流れています。また、山城国(山代国・山背国)と呼ばれていた頃の植物相を未だに留めている原生林であり、ニレ科の樹木を中心とする約40種の樹木が生育しているそうです。

なお、賀茂神社の祭事場としても使われており、葵祭(賀茂祭)流鏑馬神事(やぶさめしんじ)などが行われる際には、多くの人で賑わいます。また、森の中心から祭祀遺構が発掘されたことから、古代から祭事場として使われてきた神聖な場所であるとされています。


糺(ただす)とは?

「糺の森」の「ただす」の由来については諸説あります。

1.「偽りを糺す」の意とする説
2.賀茂川と高野川の合流点であることに起因して「只洲」とする説
3.清水の湧き出ることから「直澄」、多多須玉依姫の神名に由来するという説
4.木嶋坐天照御魂神社(蚕の社)にある「元糺の池」および、周辺の「元糺の森」から遷されたという説

糺の森の見どころ

主に糺の森と下鴨神社の垣外の見どころを紹介します(楼門よりも外側)。

原生林

人文研究見聞録:糺の森 [京都府]

糺の森の原生林です。

かつて山城国(山代国・山背国)と呼ばれていた頃の植物相を未だに留めているとされています。

なお、森内は夏場でも涼しく、非常に心地よい場所となっています。

清流

人文研究見聞録:糺の森 [京都府]

糺の森の清流です。

森内には、御手洗川・泉川・奈良の小川・瀬見の小川という4本の清流が流れているとされてます。

古木

人文研究見聞録:糺の森 [京都府]

糺の森の古木です。

森内にある巨大な古木には注連縄が巻かれ、神木として保存されています。

古代祭祀場

人文研究見聞録:糺の森 [京都府]

糺の森の古代祭祀場跡です。

遺構からは古代の祭壇とされる「石敷きの祭祀場跡」などが発掘されており、現在は復元して公開されています。

なお、発掘物からは縄文土器も発見され、古くから祭事が行われてきたことが分かっているそうです。

さざれ石

人文研究見聞録:糺の森 [京都府]

下鴨神社の参道にあるさざれ石です。

もともと小さな石が集まって大きな巌となるとされる「さざれ石」は、国家「君が代」にも歌われています。

連理の賢木

人文研究見聞録:糺の森 [京都府]

下鴨神社の参道にある連理の賢木(れんりのさかき)です。

この神木は、隣の相生社の縁結びの神の神威によって、二本の木が一本に結ばれたと云われているそうです。

縁結び、安全子育、家内安全の神徳が現れたものとされ、現代四代目であるとされています。

なお、代が替わっても二本の木が一本に結ばれた形になることから、鴨の七不思議の一つに数えられています。

相生社

人文研究見聞録:糺の森 [京都府]

下鴨神社の参道にある下鴨神社の末社・相生社(あいおいのやしろ)です。

祭神に産霊神(むすびのかみ)を祀っており、古代より縁結びの神として信仰されているそうです。

なお、めでたいことを「相生(あいおい)」というのは、ここから始まったとも云われています。

神皇産霊神(カミムスビ)とされる

河合神社

人文研究見聞録:糺の森 [京都府]

糺の森の入り口付近にある、下鴨神社の摂社・河合神社(かわいじんじゃ)です。

祭神に玉依姫命(神武天皇の母神)を祀っており、美人の神様として女性に信仰されています。

なお、創祀は神武天皇の時代と伝えられ、一説には上賀茂、下鴨の元宮であるという説もあるようです。

河合神社については詳しくはこちらの記事を参照:【河合神社】

下鴨神社の祭神の玉依媛命とは異なる

料金: 無料(一部有料)
住所: 京都府京都市 左京区下鴨泉川町59
営業: 6:30~18:00
交通: 出町柳駅(徒歩13分)、京都市バス「下鴨神社前」下車

公式サイト: http://www.shimogamo-jinja.or.jp/
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。