人文研究見聞録:大阪天満宮 [大阪府]

大阪府大阪市北区にある大阪天満宮(おおさかてんまんぐう)です。

平安時代に大宰府に左遷された菅原道真公を祀る天満宮であり、別名に天満天神・浪華菅廟・中島天満宮があります。

また、大阪市民からは「天満(てんま)の天神さん」と呼ばれ、夏の天神祭や正月の初詣には多くの参拝客で賑わいます。

※以下の写真の一部は、ウィキメディアコモンズよりパブリックドメインの画像を拝借しています。


神社概要

由緒

平安中期の延喜元年(901年)1月25日、右大臣・菅原道真公が左大臣・藤原時平の讒訴によって大宰府に左遷された際、当地にあった大将軍社に参詣した後に出発し、その2年後に大宰府で没したとされます。

その約50年後の天暦3年(949年)のある夜、道真公が参詣した大将軍社の前に突然七本の松が生え、夜毎にその梢は金色の霊光を放ったとされ、この不思議な出来事を聞いた村上天皇は勅命を出して天満宮(道真公を祀る神社)を建立させたとされています。

なお、大将軍社は後に摂社として祀られるようになり、現在でも元日の歳旦祭の前に「拂暁祭(ふつぎょうさい)」という祭が行われ、神事の中で「租(そ)」と言ういわゆる借地料を納める習わしになっているそうです。

祭神

人文研究見聞録:大阪天満宮 [大阪府]

大阪天満宮の祭神は以下の通りです。

主祭神

・菅原道真(すがわらのみちざね):天満天神であり、学問の神として知られる(火雷天神と同一視される)

菅原道真についてはこちらの記事を参照:【菅原道真とは?】

大阪天神祭

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天神祭(てんじんまつり)は祭神の菅原道真公の命日に因んだ縁日であり、毎年7月24日、25日に行われます。

大阪天満宮の天神祭は、創建の2年後の天暦5年(951年)6月1日より始まったとされ、当時は大川より神鉾を流して、流れ着いた場所に祭場を設けて、その祭場で禊払いを行うというものであったとされています。これが鉾流神事の元となり、その祭場に船で奉迎したことが船渡御の起源となっているそうです。

なお、現在では日本三大祭および大阪三大夏祭りの一つに数えられる大規模な祭りであり、花火の時間帯は現地および周辺や最寄り駅などは大変混み合います。

初詣

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大阪天満宮は大阪市内で2番目に初詣客の多い神社とされています。

そのため、正月三が日は多くの参拝客で賑わい、場合によっては入場規制もされることがあるようです。

境内社

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大将軍社

大阪天満宮の境内社は以下の通りです。

・大将軍社:八衢比古神(やちまたひこのかみ)、八衢比売神(やちまたひめのかみ)、久那斗神(くなどのかみ)を祀る
 → 元々は陰陽道における難波京の西北の鎮めとして建立された
 → この社に道真公を祀ったのが、大阪天満宮の創始とされる
・神明社:天照皇大神(アマテラス)と豊受皇大神を祀る
・蛭児遷殿:蛭子大神(ヒルコ)を祀る
・白米稲荷社:稲荷大神を祀る
 → 伏見稲荷大社の奥院と称されるとも
・八坂社:素盞雄命(スサノオ)を祀る
・妻社:大己貴大神(オオナムチ)を祀る
・亀吉・鶴姫大明神社:鶴姫大明神と天満弁財天を合祀する
・霊符社:天之御中主神(アメノミナカヌシ)を祀る
 → 節分には「鎮魂祭」が行われる
・松尾社:大山咋神を祀る
・八幡社:応神天皇を祀る
・吉備社:吉備真備公を祀る
・住吉社:住吉三神(上筒之男命、中筒之男命、下筒之男命)を祀る
・十二社:吉備聖霊、早良親王、藤夫人、伊予親王、火雷神、火産霊神、埴山比売神、天吉葛神、川菜神、藤原廣満霊、橘逸勢霊、文太夫霊を祀る
・白太夫社:渡會春彦を祀る(道真公の左遷時の側近とも)
・老松社紅梅殿:道真の愛でた梅の霊を祀る
・老松神社:住吉大神、神功皇后を祀る
・祖霊社:大阪天満宮神官・神職および氏子・崇敬者の祖霊を祀る
・宇賀社

境内の見どころ

鳥居

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大阪天満宮の鳥居です。

大門(楼門)

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大阪天満宮の大門です。

下から見上げると、上に方位盤が見られます。

方位盤

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大阪天満宮の方位盤です。

十二支が彫られていますが、よく見ると酉の部分が鳳凰になっています。

本社

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大阪天満宮の本社です。

登竜門

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大阪天満宮の登竜門です。

本殿の左右にある唐門で、この門を通り抜ければ必ず出世すると云われているそうです。

臥牛像

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大阪天満宮の臥牛像です。

この他にも、いくつかの像が安置されています。

星合池(亀ノ池)

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大阪天満宮の星合池(ほしあいのいけ)です。

天暦3年(949年)に道真公が鎮座した際、この池に霊光が映ったと伝えられているそうです。

梅林

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大阪天満宮の梅林です。

道真公は梅を愛でていたとされています。

菅家廊下

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大阪天満宮の菅家廊下です。

境内の西側にある梅香学院1階の廊下を指し、「菅公縁起」として道真公の一生が博多人形で再現されています。

蛭子門

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大阪天満宮の蛭子門(えびすもん)です。

南西の門となっています。

御神酒笑姿

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大阪天満宮の御神酒笑姿(おみきえびす)です。

蛭子門の外側に安置されています。

料金: 参拝無料
住所: 大阪府大阪市北区天神橋2-1-8(マップ
営業: 9:00~17:00、無休
交通: JR大阪天満宮駅(徒歩5分)、森町駅(徒歩5分)

公式サイト: http://www.tenjinsan.com/
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。