人文研究見聞録:安倍晴明神社 [大阪府]

大阪府大阪市阿倍野区にある安倍晴明神社(あべのせいめいじんじゃ)です。

阿倍王子神社の隣に鎮座する境外末社であり、社伝によれば、陰陽師・安倍晴明は当地・阿倍野の出身であるとされ、晴明の死の2年後、上皇の命によって生誕地に祀られたことに始まるとされています。

そのため、境内には晴明ゆかりの伝説が多数残されており、神社でも陰陽道にまつわる御守やグッズなどが販売されています。なお、本殿では日替わりで占いも行われているそうです。


神社概要

由緒

社伝『安倍晴明宮御社伝書』によれば、 寛弘2年(1005年)に安倍晴明が没した際、晴明の死を惜しんだ上皇が晴明を生誕の地である阿倍野に祀るよう晴明の子孫に命じ、寛弘四年(1007年)に社殿が完成したとされています。

以来、晴明の子孫と称する保田家が社家として代々奉仕し、江戸時代には歴代の大坂城代が参拝に来るほど有力な神社であったそうです。しかし、幕末より衰微し、明治時代には小さな祠と石碑のみになってしまったとされています。

その後、明治時代末期より復興計画が持ち出され、大正10年(1921年)に阿倍王子神社の末社として認可され、社家の子孫である保田家より旧社地の寄進を受けて、大正14年(1925年)現在の社殿が竣工して現在に至るとされています。

主祭神

人文研究見聞録:安倍晴明神社 [大阪府]

安倍晴明神社の主祭神は以下の通りです。

安倍晴明大神(あべのせいめい)平安時代の陰陽師であり、天文博士でもある(非常に多くの伝説がある)

境内社

泰名稲荷神社

人文研究見聞録:安倍晴明神社 [大阪府]

安倍晴明神社の境内社・泰名稲荷神社(やすないなりじんじゃ)です。

安倍晴明の伝説上の父親である安倍泰名(あべのやすな、保名)を祀っています。

詳しくはこちらの記事を参照:【安倍晴明の伝説】

関連知識

阿倍野の安倍晴明

人文研究見聞録:安倍晴明神社 [大阪府]

安倍晴明神社によれば安倍晴明は阿倍野の出身であるとされ、以下の様な半生を送ったとされています。

安倍晴明公は古代豪族・阿倍氏の出身で、葛葉伝説では父・安倍保名(あべのやすな)が和泉の信太明神(聖神社)に参詣した際に助けた白狐(葛之葉姫)と結ばれて、当地・阿倍野で生誕したと伝えられています。

幼名は安倍童子(あべどうじ)で資性英明学問を好み、京都に上り陰陽家の賀茂忠行(かものただゆき)子息・保憲(やすのり)に師事し、陰陽推算の術を修め、天文博士、大膳大夫、播磨守等を歴任し、従四位上に叙されました。

占いは百占奇上の如しと称され、花山天皇の退位を予知し、大江山の鬼退治を指導したことは有名で、また、職神(精霊)を自在に駆使したと伝えられています。

ただし、安倍晴明の出身地にまつわる説は他にもあり、有名なものに 奈良説、讃岐説、茨城説があります。

詳しくはこちらの記事を参照:【安倍晴明とは?】

逸話

安倍晴明神社には、戦時中 境内に焼夷弾が落ちた際、爆発せずに本殿は被災を免れたという逸話があります。

そのため、地元ではこれを晴明の守護としており、これ以来 災難除けの神様としても信仰を集めているそうです。

境内の見どころ

表鳥居

人文研究見聞録:安倍晴明神社 [大阪府]

安倍晴明神社の表鳥居です。

本殿

人文研究見聞録:安倍晴明神社 [大阪府]

安倍晴明神社の本殿です。

お祓いや祈祷を受け付けており、占いも日替わりで実施しているそうです。

安倍晴明誕生地の碑

人文研究見聞録:安倍晴明神社 [大阪府]

安倍晴明神社の安倍晴明誕生地の碑です。

一説によれば、晴明は平安時代の天慶7年(944年)3月に当地・阿倍野で生誕したとされています。

それを記念して、堺の商人である神奈辺大道心(かんなべだいどうしん)が建立したものだそうです。

鎮石(孕み石)

人文研究見聞録:安倍晴明神社 [大阪府]

安倍晴明神社の鎮石(孕み石)です。この石は古代の船の錨(いかり)とされていたそうです。

そのため、「船を鎮める」から転じて「痛みを鎮める」と捉えられ、現在では安産祈願の信仰を集めているとされています。

安倍晴明公 産湯井の跡

人文研究見聞録:安倍晴明神社 [大阪府]

安倍晴明神社の安倍晴明公 産湯井の跡です。

晴明誕生時の産湯井を再現したものとされています。

安倍晴明公像

人文研究見聞録:安倍晴明神社 [大阪府]

安倍晴明神社の安倍晴明公像です。

主祭神である陰陽師・安倍晴明を模った銅像となっています。

葛之葉姫図碑

人文研究見聞録:安倍晴明神社 [大阪府]

安倍晴明神社の葛之葉姫図碑です。

晴明の伝説上の母である葛之葉姫が描かれています。

葛之葉霊狐の飛来像

人文研究見聞録:安倍晴明神社 [大阪府]

安倍晴明神社の葛之葉霊狐の飛来像です。

晴明の伝説上の母である葛之葉姫が霊狐の姿で飛来しているイメージを再現しているそうです。

料金: 参拝無料
住所: 大阪府大阪市阿倍野区阿倍野元町9-4(マップ
営業: 終日開放(社務所 9:00~17:00)、無休
交通: 東天下茶屋駅(徒歩3分)、昭和町駅(徒歩13分)

公式サイト: http://abeouji.tonosama.jp/
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。